【2017年版】神奈川県内企業の事業承継の課題

神奈川県内企業の70.5%が経営課題と認識

帝国データバンクが2017年11月28日に公表した「事業承継に関する神奈川県内企業の意識調査 」によると、神奈川県内企業の70.5%が事業承継を経営課題として認識していることが明らかになりました。

詳しくデータを見ていくと、事業承継が「経営上の課題の1つと認識している」という回答が57.3%、「経営上の最重要課題と認識している」という回答が13.2%となっており、両者を合わせると、70.5%が経営課題と認識していることが分かりました。一方で、「経営上の課題と認識していない」という回答は18.1%に留まりました。

では事業承継について、事業承継計画を立てているかどうかについては、「経営計画がない」という回答が28.1%と最も高く、「計画はあるがまだ進めていない」が25.3%、「計画があり、進めている」が20.4%となりました。既に事業承継を終えているという回答は、わずか15.1%に留まっています。

 

事業承継計画が進められない理由は「後継者不在」

次に、事業承継が進められていない理由については、「後継者が決まっていない」という回答が43.9%が最も高く、次に「まだ事業を譲るつもりがない」が36.1%、「事業の将来性に不安がある」が25.7%、「自社株買いなどの個人資産の扱い」が17.0%となりました。このデータを見ていくと、約半数の企業で後継者不在によって事業承継計画が進められていないことが分かりました。

最近では後継者不在は社内で簡単に見つかるものではないという認識が広がり、外から人を入れるもしくは、外部にM&Aで第三者譲渡することが増えています。中小企業庁の調査では、親族内の承継はわずか30%にまで減少しているとのことです。

 

事業承継をしただけではすぐに業績は上がらない

では、事業承継をし、若返りをしたことで業績にはどのような影響があるのでしょうか。この点については、「翌年の業績にプラスの影響があった」と回答した企業が33.3%であり、「影響はなかった」が51.9%と多数を占めました。この点については、稲盛和夫氏がよく語っていますが、2代目に事業を引き継いだからといって中身は変わっていませんし、短期的に業績を上げられるものではありません。逆に先代の懐刀と上手くやっていくだけで精一杯になります。

稲盛和夫氏は後継者は、会社の方向性をどのようにしたいのかを(先代の方針を大きく変えない範囲で)、とにかくよく語ることを説いています。その中では、後継者が社員とともに会社のミッションやバリューの再設定も行い、会社が上手く軌道に乗るように説明されています。

人を生かす 稲盛和夫の経営塾 」

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事業承継を円滑に行うには、現代表(社長)と後継候補者との意識の共有が重要

最後に事業承継を円滑に行うにはという質問については、「現代表(社長)と後継候補者との意識の共有」が重要と回答したのが、58.5% と最も高く、「早期・計画的な事業承継の準備」が46.9%、「経営状 況・課題を正しく認識」が46.2%、「早めに後継者を決定」が44.5%となっています。上記稲盛和夫の本でも書いてある通り、他社にM&Aをするのではなく事業承継という難しい選択肢を選ぶのであれば、普通よりも難しいチャレンジと周到な用意が必要です。