【2017年度】M&A仲介会社の調剤薬局M&A状況

大手M&A会社の調剤薬局M&Aは38件

業界再編のM&Aが最も盛んに起きている業界は調剤薬局であることは、既にご説明致しました。

具体的にはどの程度のM&Aが行われているのでしょうか。大手M&A仲介会社の成約情報を分析すると、2017年は38件の調剤薬局M&Aが行われたことが明らかになっています。この案件数に中小のM&A会社の数字を含めると50件前後になると推測されます。

一番成約件数が多いのは、M&Aキャピタルパートナーズだと考えられます。調剤薬局の案件としては公表をしていませんが、20件近くを成約していると考えられます。その次に多いのが日本M&Aセンターの11件。そしてストライクの7件となっています。この数字に加えて、新興のM&AアドバイザリーのFUNDBOOK、調剤薬局M&A専門のMACアドバイザリーなどの案件を加えると50件近くになると推察されます。

 

中堅調剤薬局M&Aが増加

調剤薬局業界ではこれまで、比較的小規模企業の事業承継としてM&Aが選択されていたこともあり、2000年代後半までは比較的規模の小さなM&Aが行われていました。

ところが、2010年に東邦HDによるメディカルブレーン(福岡県)の買収やクオールによるテイオーファーマシーグループ(中国・四国地方)の買収など、年商10億円以上の会社のM&Aが置きました。これらの買収を皮切りとして、2012年のマツモトキヨシによる士野薬局(石川県)の買収(13店舗)、2013年のメディカルシステムネットワークによるトータル・メディカルサービス(福岡県)の買収(35店舗)などが行われています。公表ベースでは、2016年におコン割れたJ-STARによるアイセイ薬局の買収(316店舗)が最も大きく、その次に、2016年11月のアインホールディングスによる葵調剤薬局の買収(115店舗)、2017年7月の阪神調剤ホールディングスによるメディカルかるがもの買収(60店舗)と続いています。

 

小規模の調剤薬局は中堅調剤薬局がターゲットに

中堅の調剤薬局M&Aが増えているのは事実ですが、中堅のM&Aの買い手は大手企業がメインとなっています。一方で売上10億円〜20億円規模の中堅の調剤薬局から1店舗の調剤薬局を買いたいというオファーも増えています。1店舗の調剤薬局M&Aが可能なのは、年間の処方箋枚数が8,000枚以上の調剤薬局です。年間8,000枚であれば1名の薬剤師で運営が可能なため、赤字になっている可能性も少ないと考えられます。

一方大手の調剤薬局では、1万枚以上の調剤薬局を買いたいというニーズが強いため、中堅の調剤薬局M&Aをしたい企業にとっては、8000枚〜10000枚の調剤薬局であればM&Aのチャンスがあると言えるでしょう。