2017年12月のM&A/資金調達件数は250件に

資金調達・M&Aの件数は堅調に増加。村上ファンド系列のエグジットが成功。

 

 森経営コンサルティングの1月15日の調査によると、2017年12月に公表されたM&Aおよび資金調達件数は250件に上ったことが分かりました。

 

下記にて、2017年12月期の著名な案件を具体的に見ていくことにします(順不同)。

 

 既にニュースにもなっているものですが、2017年12月22日に村上世彰氏の関係会社およびご息女が投資をしている黒田電気が彼・彼女らより株式買取をTOBにて行ったことが発表されています。推定の取得価格は300億円、取得比率は28.30%となっており、彼らのエグジットが成功したことが推定されます。黒田電気側は法務担当としてTMI総合法律事務所、トランザクションサービスに野村證券、ブローカーに大和証券を立てています。

 

 2017年12月27日には、EC上にてキャンプ等のアウトドアサービスを展開するミネルヴァホールディングスの株式を通販会社のスクロール社が買収したことが発表されました。取得価格は87億円であり、取得時の企業価値は83.8億円と推定されています。

  

 2017年12月4日には、東芝保有する芝浦メカトロニクスの株式をニューフレアテクノロジーおよび信越エンジニアリングが8.46%の出資をしたことが発表されました。芝浦メカトロニクスはFPDや半導体・電子部品向けの製造装置メーカーであり、ニューフレアテクノロジーは東芝グループの半導体製造装置メーカーです。東芝内の注力分野によるグループ再編が加速しているものと推測されます。

 

 2017年12月13日には、調剤薬局大手のメディカル一光HDの子会社であるメディカル一光の株式を取得したことを発表しました。グループ再編の一貫として経営の効率性を上げ、ホールディングスでの監視強化を行うことを目的としています。調剤薬局業界は業界再編が進んでおり、メディカルシステムネットワーク社も2017年12月15日に「なの花薬局」を手がけるアポテック社の株式取得を22.51億円で行ったことを発表しています。

 

 同日の2017年12月13日には、スタートトゥデイがAIベンチャー企業のカラクル社を買収したことが発表されています(資金調達額は非公表)。同日にはスペースデブリ宇宙ゴミ)を扱うアイスペース社が日本の大企業から35億円の資金調達を行った事例もあり、2017年12月もベンチャー企業への投資は積極的であったことが伺えます。2017年12月19日には、クラウドワークス社によるコーチ・ユナイテッド社の「サイタ」事業を事業譲渡した事例およびマネーフォワード社によるBASE社への出資もあり、上場ベンチャー企業によるベンチャー企業の買収も今後は見込まれそうです。

 

 2017年12月20日には、ライザップ社によるヒマラヤ傘下のスポーツ用品店のB&Dの買収が発表されました。ライザップは直近でアパレル関係の投資を積極的に行っており、その周辺事業としてスポーツ用品店への投資を行ったものと考えられます。

 

 以上、注目される投資案件についての発表を致しました。これ以外にも公表されている案件で気になるものがありましたら、コメント等でお知らせください。